年度末の管理職との面談が終わりました。

内容は教科指導・生徒指導・校務分掌など、職務に関することについて面談をするというものです。

面談自体はすぐに終わり、概ね良い評価でありました。


しかし、そこでの管理職の発言が考えさせられるものでした。

管理職「あなたは授業は頑張っている。だけども、今は部活動の指導をしていない。みんなやっているのだから、4月から何もしないわけにはいかない」

というものでした。


確かに私は今、部活動の指導をしていません。

しかし、部活についてはボランティアとしての位置づけがなされているのが世間一般の解釈だと思います。

ですから、それについて強制されるいわれはないのです。


また、新年度からの希望学年や希望分掌のアンケートがとられました。

そこにも当たり前のように「希望の部活」の欄がありました。

「希望の部活」を必ず書きなさい、ということなのです。

これはあくまでも全員顧問制度を前提にしたものであり、実質的には部活の顧問を断ることはできないような文面になっていました。

私は「部活の顧問はしない」という旨の文を書き、提出をしました。

来週以降、管理職からどんなことを言われるか、今から不安です。


さてここで、改めて部活の法的な位置づけについて述べておきます。

部活についての考えをまとめるためにも有意義だと思います。


部活についての位置づけについて見てみましょう。



【 現行学習指導要領 第1章 総則 第4 (13)より 】


生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化及び科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。

※ 一環…全体の一部分のこと。


【文科省HP 現行学習指導要領・生きる力 Q&A】


中学校における部活動については、教育課程外の活動であるものの、学校教育活動の一環として中学校教育において大きな意義や役割を果たしていると言えます。


※教育課程・・・学校教育の内容を配列したもの。


【文科省HP 教職調整額の経緯等について】


勤務時間の長短にかかわらず、教員の勤務時間の内外を問わず包括的に評価するものとして、給料の4パーセントの教職調整額を支給


現在においても引き続き4パーセントの教職調整額を支給


昭和41年度 文部省が実施した「教員勤務状況調査」の結果

 
<超過勤務時間>  1週間平均  

 
   ・小学校   1時間20分 
  ・中学校  2時間30分 
  ・平均   1時間48分

 


1週間平均の超過勤務時間が年間44週にわたって行われた場合の超過勤務手当に要する金額が、超過勤務手当算定の基礎となる給与に対し、約4パーセントに相当。



【文部科学省HP 教員の職務について 2 ②勤務時間外の場合】


勤務時間外に業務を命ずる時には、超勤4項目に限定される。


参考『超勤4項目』

①  教育職員については、正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務を命じないものとすること。
② 教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。

イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ 職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
ニ 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務


【 今後の教員給与の在り方について(答申) 第四章 3 】


〇 現在、部活動は、教育課程外に実施される学校において計画する教育活動の一つとされている。部活動指導は、主任等の命課と同様に年度はじめに校長から出された「部活動の監督・顧問」という職務命令によって命じられた付加的な職務であり、週休日等に4時間以上従事した場合には部活動指導業務に係る教員特殊業務手当(部活動手当)が支給されている。


※職務・・・その人が担当している仕事。


〇部活動は、正規の勤務時間を超えて実施されている実態があるが、本来は、教員の他の職務と同様に、正規の勤務時間内で実施すべきものである。このため、外部指導者の活用を促進するとともに、部活動による時間外勤務が可能な限り生じることがないように、校長が適切に管理・監督するよう指導を行うことが必要である。

 
 
以上となります。 

赤文字で書かれた部分をまとめてみます。また青文字では各単語の定義を述べています。

〇部活動は学校教育の一環としてなされる。

 ※ 一環…全体の一部分のこと。


〇部活動は、教育課程外の活動である

 ※教育課程・・・学校教育の内容を配列したもの。


昭和41年度の超過勤務が小学校1時間20分、中学校2時間30分、平均1時間48分だったので、時間外勤務には給料の4パーセントの教職調整額を支給している

原則として時間外勤務を命じないが、超勤4項目(実習・行事・会議・災害)の場合のみ時間外勤務を命じることができるので、時間外の部活動についての職務命令はできない。

〇部活動は教育活動の一つであり、付加的な職務である。

  ※職務・・・その人が担当している仕事。

〇ただし、正規の勤務時間内で実施すべきものであり、
校長が適切に管理・監督するよう指導を行う必要がある。



・・・読めば読むほど分からなくなりますが、見方に偏りのないように分析してみます。


部活動は『学校教育の一部分』であるが、『学校教育の内容外』である。

部活動について、『時間外勤務の命令をすることはできない』。

部活動は『教育活動の一つ』であり『付け加えられた仕事』である。


ということでしょう。


学校教育の内容外であるが、学校教育の一部分という矛盾に始まり、時間外勤務を命じることはできないと言いながら、正規の勤務時間内で終わることはない。そして、教育活動の一つだから、付け加えられた仕事だという。


カリキュラムには組み込まれていないので、教員が行う必要はない。ただし、教育活動として重要であるから仕事として付け加える。だから、正規の仕事ではないので給料は発生しないが、教員がやるべきである。 ※ 土日は少額のお金が発生します。

ということでしょうか。


一つひとつの単語の定義を追っていっても、部活動の位置づけについては謎が多すぎます。

部活動は「仕事」なのか、という曖昧な議論ではなく、教育課程の中にあるのか。正規の職務なのかという点を突き詰めることが必要だと感じました。

私個人としては、こんなに曖昧で矛盾に満ちた制度に加担するつもりはありません。

理論武装するとすれば、教育課程外の活動であり、超勤4項目に該当しないので、部活の顧問はしません、ということになるでしょう。

「職務命令によって」という文言もありましたが、教育課程外なのですから、本来は職務命令もできないはずです。


こうやってまとめてみると、自分の頭の中がすっきりします。

みなさんのご意見をお待ちしています。



PS、卒業式が無事に終わりました。

卒業生の担任だった先生方、おめでとうございました。

本当はそんな幸せな記事を書きたいのですが(苦笑)