ゴールデンウィーク真っ只中です。

全国の同業者の皆さま、お元気ですか。

連休に、ちゃんと連休できていますか。

連休に、ちゃっかり連勤していませんか。


休日に連勤を重ねてしまうと、心身が疲弊するばかりか、日本の労働におけるブラック体質をさらに推し進めることになりかねません。

連勤はさらなるブラック体質を錬金しているのです。


私はといえば、どうにか新しい年度も軌道に乗り、日々を充実させつつ生活しています。

遊び心を持ちながら授業研究をすることを心がけ、新しいアプローチで授業を展開している自負があります。


また、なるべく定時で帰宅することを自分に言い聞かせているのですが、現実はなかなかそううまくいかない。

なので、朝早めに行って仕事をさばくことをしています。

それは結局「残業」と言えるのでしょうが、仕事が終わらないから残って仕事をする「残業」ではなく、早く帰宅するための下ごしらえのような時間なので、前向きに捉えながら朝の清々しい時間を過ごしています。


さて、かつてネット署名を展開した『部活問題対策プロジェクト』を覚えていらっしゃいますでしょうか。

第一弾では教員に部活顧問をする・しないの選択肢を求める署名を。

第二弾では、生徒に部活に入部する・しないの選択肢を求める署名を集め、文科省に提出しました。

かく言う私も、その6人のメンバーのうちの1人です。


そこに、新たな動きが。


その名も『部活改革ネットワーク』です。

『部活問題対策プロジェクト』は署名を中心に広くマスコミ対応などを行ってきましたが、『部活改革ネットワーク』は大人数を擁し、部活問題の声を拡散・周知していく活動をする予定になっています。

現在、Twitter を中心に繋がりが広がり、現職の教員ら44名が連携をしています。

また、今後もそのメンバーは増えていくことが予想されます。


『部活改革ネットワーク』は北海道・東北/関東/中部/近畿/九州・沖縄の5つの地域ネットワークをもち、それぞれにツイッターのグループDMを設けて、そこに賛同者が登録されるようになります。

同じ意志を持つものが手と手を取り合い、意識を共有し、さらにリアルの世界へと還元する。

「部活に異論を持つ者」が単なる少数派ではなくなるように、もう一人ぼっちではなくなるように、具体的かつ建設的な集団となっていけばいいと思います。


私も44人のうちの一人ですし、そのほかのメンバーはいずれ劣らぬ論客ばかり。

いずれは各地域ネットワークの中でオフ会も行われていくことでしょうし、名ばかりの「組合」というよりは、より実効性ある団体と言えるでしょう。


SNSに端を発した『プロジェクト』・『ネットワーク』の存在は、革命です。

ずっと おかしい、不条理だとされてきた学校現場の部活問題にメスを入れる、右手と左手が揃ったと考えてよいでしょう。


ブログを始めて数年。

部活問題に悩み、それを誰にも相談できない暗闇の中で孤独だった私にとって、このような活動の広まりは驚くと同時に、非常に嬉しいことです。

私個人としても連携しつつ、事態が好転していくように支援していきます。


また、部活に関連する、大々的な署名活動が始まりました。

大学教授や過労死遺族らでつくる『教職員の働き方改革推進プロジェクト』という団体が、「教職員の時間外労働にも上限規制を設けて下さい!」に賛同を求めるインターネット署名を始めました。

メンバーは名古屋大学准教授・我らが内田良氏をはじめ、メディアでもお馴染みの尾木ママこと尾木直樹氏など10名が名を連ねています。

6月に署名を取りまとめ、文部科学相と厚生労働相に提出する予定ですが、署名はすでに5000筆を超えています。


最後に、新聞やネットを騒がせたニュースに、文科省の調査による【中学教諭、6割近くが「過労死ライン」】というものがあります。

過労死ラインといわれる週60時間以上勤務をした中学校教諭は約6割であり、慢性的多忙の現実が浮き彫りとなった形です。

まあでも学校現場の人間から言わせてもらえれば、「そりゃそうでしょう」としか言えません。

例えば、朝7時から仕事を始めたとして、19時に帰宅できたらいいほうでしょう。

それですでに1日12時間労働。それを週5日続けたら週60時間勤務の出来上がりです。

それに部活顧問をされている先生方であれば……これ以上の記述は不要でしょう。


私の勤務校の職員室でも過労死ラインについて話題になりました。

現場は過労死ラインの中にどっぷりと漬かりながら生活しています。

これから未来を背負って立つ若者を育成していく学校の先生が、過労で死ぬというラインで勤務している。

そしてそれは激化の一途をたどるばかり。

この現状を皆が知っているにも関わらず、部活顧問の現状は変わらない。

さらに脱ゆとりによる授業数の増加、道徳の教科化、土曜授業の実施など、現場の状況を考えたら愚策としか思えない施策のオンパレード。


新年度に入り、私の勤務校では長らく講師が決まりませんでした。

偶然もあるのでしょうが、大卒の講師のなり手が少ないのだそうです。

近隣の学校でも同じ状況が起こっており、再任用の先生方にお声掛けをする事態が多く発生しました。


SNSという武器を持つ大学生は知っているのです。部活問題を含め、学校現場はブラックだと。

そしてその最たる例が、講師なのだと。

昔は学校現場の細かい状況など、なかなか知ることができませんでした。

ところが今はSNSの発達で、つぶさに現状を把握することができます。

こうやって学校の先生になりたい人が減り、そしてその質も低下していくのでしょう。


『部活問題対策プロジェクト』、『部活改革ネットワーク』、『教職員の働き方改革推進プロジェクト』による新しい署名、過労死ラインのニュース。


これらの内容を現場の教員が、また大学教授らが、そしてメディアが一斉になって声を上げているのです。

これで文科省が何もアクションを起こさないとなると、もうだめでしょう。


文科省が放置し続けた部活顧問という問題は、現場レベルでは我慢の限界をとっくに超えています。

既存の組合がなしえなかった有効的な提言を、いち教員らが「自主的・自発的に」行っているのです。

部活改革2年目。

改革の大きなうねりがまさに起ころうとしています。


「絶対に成功する雨乞いの方法」を聞いたことがあります。

それは「雨が降るまで雨乞いを辞めないこと」だそうです。

声を上げ続けましょう。現場でも、Twitter でも、隣の人への愚痴でもかまいません。

声を上げ続けることによって恵みの雨が降り、それが改革の大きなうねりを後押ししてくれることを願ってやみません。


次回こそ、早めの更新をしたいと思います。

教師やその家族、民間によって立ち上げられたサイト、『教働コラムズ』についても触れたいのですが、長くなりましたので次の機会に。

ブログの書籍化についても、続報を伝えられるように動いていきたいと思います。