初任のとき、同僚の先生から「専門は何?」と聞かれた。

私は「○○です」と教科名を答えた。


同僚の先生は「違う違う、部活の専門は?」

と聞き直した。


私は「一応、バスケットボール(仮)を学生の時にしていましたが」

と答えた。

同僚の先生は「ちょうどよかった、その専門の先生を探してたんだ」

と、嬉しそうに言った。


これは、年度初めによく交わされる会話の一例だ。

公立中学校の「専門」という言葉は、教科ではなく、部活動に使われることが多いように思う。


まず、断っておくが、体育の先生以外、部活動の専門というものはないと言っていいだろう。


学生の時に選手としてやっていたというぐらいで、この世界では専門と呼ぶのだ。


私は今、ある種目の部活動の顧問をしているが、いわゆる「専門」のスポーツである。


しかし、学生の時にやっていたというだけで、指導者としての研修など受けたことがない全くの素人である。


ど素人をつかまえて、専門だからと顧問に据えていることが多いのではないか。


今日も明日も部活動の試合だが、土日にまで出て行って指導するやる気はない。

くどいようだが、自分のプライベートの時間を削られているのは納得がいかない。


学生の時にこのスポーツをしたのを後悔しているほどだ。


教員がなすべき仕事を、もっと制限するべきだと考える。

授業が専門なのだから授業研究にもっと時間を割くべきだ。


3連休全部部活動で休む暇もない。

もちろん授業研究する暇もない。

だから週明けには薄っぺらな授業の案しか頭にない。


心のゆとりこそがいい授業の源じゃないだろうか。

そんな余裕のない状態でも、嬉々として部活動に取り組んでいる先生が異常に思えてくる。


もうこの制度自体、時代遅れなのではないか。


それとも、この件をずっと考えている自分は、中学校の教員になる資格さえないのだろうか。

明日も一日、試合です。