夏の終わりが近づいてきています。

皆さま、お元気でいらっしゃいますか。


部活について、様々な動きがあっています。

その中で、記事にすべきか悩みましたが、やはり触れないわけにはいかないと思い、書きたいと思います。


8月17日(水)のことです。

奈良県の公立中学校で、ハンドボール部の練習をしていた1年の男子生徒が、熱中症を訴え、その後に死亡しました。

約35分間のランニング後、生徒がふらつき、顧問の問いかけにも反応しなくなったため病院に搬送したとのことです。

夜になって容態が悪化し、転送先の病院で17日午前2時50分ごろ腎不全で死亡しました。

熱中症が原因とみられています。


ニュースのリンクは以下の通り ↓↓

http://www.sankei.com/west/news/160817/wst1608170082-n1.html


熱中症による、部活中の死亡者が出てしまいました。

誠に残念な事故であり、心より、ご冥福をお祈り申し上げます。


過去には柔道部の部活中の事故などがありましたが、熱中症による死亡事故は記憶に無いように思います。


早朝からの部活ですが、顧問はその場にいたのでしょうか。

そして生徒への練習の指示は的確だったのでしょうか。

今回の事故の責任は誰にあるのでしょうか。

練習を指導する顧問でしょうか。それを管理する校長でしょうか。それすら曖昧です。

これは特別なケースではありません。

日本全国の、当たり前に行われている部活の中で起こった、悲しい事故です。


その事故の後、私が勤務している学校では、一切何事も無かったかのように部活が行われています。

連日35℃を大幅に上回る気温を記録している中、長時間にわたる部活が行われています。

グラウンドや体育館の温度は、さらに高温になっていることでしょう。


しかも、職員研修や諸会議で全職員が部活指導につけない中でも、生徒のみで炎天下での部活は継続されています。

時折、熱中症の生徒が出ます。

職員室に真っ赤な顔をして運ばれてきます。それも日常のようになってしまっています。

生徒が死んでしまったらどうするのでしょう。

たかが熱中症と、鼻で笑っていていいのでしょうか。

奈良県の事故のことは知らないのでしょうか。

ずっと繰り返してきた、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」体質は治らないのでしょうか。


危機管理意識は学校現場で声高に叫ばれています。

たとえば体育祭や水泳指導、長距離を走る持久走などが実施される前には、保護者の方にプリントを出し、身体面を考慮したうえで承諾をいただいてから授業に入るようになっています。

学校での教育活動については、慎重に慎重を期して行われるのです。


ですが、部活に関しては完全に治外法権。

これだけの事故があった後にも関わらず、ダラダラとズルズルと旧態依然とした部活が続けられています。

以前にも書きましたが、ガイドラインなどという甘っちょろいものではだめなんです。

35℃を超える猛暑日は、部活を中止にすることや2時間以内に限定するなど、明確な規定が無いとだめなんです。


海外から日本を訪れた旅行者に、日本の夏について聞いた記事がありました。

祭りや花火など、和の夏の良さをあげる一方、どうしても解せないことがあるのだそうです。


それが甲子園でした。

記事には「あの炎天下でスポーツをするなんて馬鹿げている。信じられない」という旨の声が。

私は甲子園の全てを否定する者ではありませんが、あの過密日程や高温の状態で競技する面は、大いに改めるべきだと思います。


それと同じように、部活も変革の時期を迎えなければなりません。

甲子園を盲目的に良いものと考える信者の方は、きっと部活も同様に考えるのでしょう。

「暑い中でも、いや暑い中でやる部活こそ意義があるのだ。根性を鍛えるのだ。精神を強くするのだ」と。


部活問題を変えていくには、考えを根本から変えていく必要があるようです。

今までの常識は、常識ではなかったのです。これからの常識を考えるべきなのです。


まずは教師一人ひとりが、生徒一人ひとりが、保護者一人ひとりが部活について考えるべきです。

そして考えるだけでなく、行動に移すべきです。

次の被害者が出る前に。そして意識するとしないに関わらず、加害者になってしまわないように。


私は教師として、部活の顧問制度が違法だと訴えてきました。

そして自身は部活の顧問を受け持っていません。

それが私のなすべき態度の表明だと考えるからです。

曖昧かつ不十分な部活の制度、そしてその体質自体が異常だととらえているからです。

さらにその状態のまま、教師に顧問を強制することはパワハラ以外の何ものでもありません。


新学期です。

皆様の新しい日々が、素晴らしいものでありますように。